令和3年分の確定申告で給与2箇所はどう書く?源泉徴収票2枚の合算法
給与を2箇所以上から受け取っていた年の確定申告は、多くの納税者が最も頭を抱える手続きのひとつです。とりわけ「令和3年分(2021年分)」に関しては、税務署からの過去分お尋ね(照会)が届いたケースや、天引きされ過ぎた税金を取り戻す「還付申告の5年ルール(時効)」の期限が2026年12月末に迫っていることから、いま改めて正確な書類作成を迫られる相談が現場で相次いでいます。
本業の合間に副業アルバイトを行っていたり、年内に2つの会社を掛け持ちしていたりする場合、手元には2枚の源泉徴収票が存在します。「単に2枚の数値をそのまま足し算してよいのか」「第一表や第二表のどこに何を書き込めば損をしないのか」といった疑問を解消すべく、国税庁の公式手引きおよび税務現場の実務データを基に、ミスのない具体的な申告書の作成手順を徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:源泉徴収票が2枚ある場合、「支払金額」と「源泉徴収税額」は合算するが、「給与所得控除後の金額」は単純合算せず、合計収入から再計算して第一表に記入する。
- 要点2:第二表の「所得の内訳」には2社それぞれの支払者情報・収入金額・源泉徴収税額を個別に記載し、主たる給与(甲欄)と従たる給与(乙欄)の差異を明確に示す。
- 要点3:令和3年分の還付申告は2026年12月31日が法的な消滅時効となるため、従たる給与で高い税率(乙欄)を引かれていた人は早期に申告を済ませる必要がある。
【公式手順】給与2箇所の令和3年分確定申告|第一表・第二表の合算手順
令和3年分の所得税確定申告において、2箇所から給与を受け取っている場合、申告書の作成には厳密なルールが存在します。令和3年分の確定申告書様式(申告書Aまたは申告書B)を前にして最も犯しやすい誤りは、2枚の源泉徴収票に記載された「給与所得控除後の金額」をそのまま足してしまうケースです。必ず以下のステップに従って書類を作成してください。
手元に用意するのは、メイン勤務先(本業)の源泉徴収票と、サブ勤務先(副業・掛け持ち)の源泉徴収票の計2枚です。本業側は原則として「年末調整済み」であり、摘要欄や種別欄に「甲」の記載が見られます。一方、副業側は「乙」欄適用となっており、年末調整は行われていません。
まず第一表の「収入金額等」にある「給与(ア)」欄の記入です。ここには、2枚の源泉徴収票それぞれの「支払金額」を合算した合計額を記入します。端数処理や自己判断による控除は行わず、記載されている支払金額面をそのまま足し合わせます。
次に最大の難所となる「所得金額等」の「給与(1)」欄です。ここには、合算した給与収入金額をベースに、令和3年分の「給与所得控除額」を差し引いた数値を記入しなければなりません。国税庁が定めた令和3年分給与所得控除の速算表(収入180万円以下なら収入×40%-10万円、最低保障55万円など)を用い、2社合算の給与総額から控除額を算出して書き込みます。各源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」を合計すると、控除を2重に適用することになり税務署から是正を求められます。
続いて第一表の右側「税金の計算」の最下部にある「源泉徴収税額(44)」欄には、2枚の源泉徴収票の「源泉徴収税額」を単純合算した金額を記入します。乙欄で引かれていた高率の税額もここで合算することで、最終的な年税額との差額が算出され、納付または還付の判定が下されます。
第二表の「所得の内訳(給料等)」欄には、合算値ではなく、会社ごとの明細を分けて記載します。1行目に本業の会社名・所在地・収入金額・源泉徴収税額を記入し、2行目に副業先の会社名・所在地・収入金額・源泉徴収税額をそれぞれ転記します。これにより、課税当局はどの支払者からいくらの天引きが行われたのかを正確に突合・確認することができます。

源泉徴収票2枚を徹底比較|甲欄と乙欄で見落としがちな控除と税額
掛け持ち勤務を行っている場合、2枚の源泉徴収票は性質が根本から異なります。会社員やアルバイトが「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出できるのは国内で1社のみと法律で定められており、提出した先が「主たる給与(甲欄)」、提出していない先が「従たる給与(乙欄)」として扱われます。
副業先の給与から引かれる源泉徴収税額は、所得税法別表第二(乙欄)に基づいて計算されます。甲欄のように基礎控除や配偶者控除などを反映させないため、月額給与が数万円程度であっても最初から高い税率(約3.063%〜数10%)で天引きされているのが通常です。この仕組みを理解していないと、「なぜ副業先は手取りが少ないのか」「確定申告をすると税金が戻るのか」という構造が見えてきません。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 本業(主たる給与) | 「甲欄」適用。各種人的控除・社会保険料控除を反映し年末調整を完了 | 源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄に精算後の正規年税額が記載 | 各種控除が適用されているため、単体での課税関係は適正に完結している状態 |
| 副業(従たる給与) | 「乙欄」適用。扶養控除申告書なし。月額基準で高率の源泉徴収 | 年末調整未済。年収が低くても概ね3%以上の所得税が源泉徴収される | 控除未適用のまま税金が過大徴収されているケースが多く、還付の原資になりやすい |
| 2社合算時の控除 | 令和3年分給与所得控除:最低55万円〜上限195万円(年収850万円超) | 2枚の源泉徴収票に記載された「給与所得控除後の金額」は合算不可 | 合算収入から再計算を怠ると所得過小申告になり、後日修正申告の対象となる |
| 税額精算の着地点 | 合算後の課税所得×税率(5%〜45%)-合算済源泉徴収税額 | 副業規模や社会保険料控除等の総額により納付か還付かが分かれる | 乙欄で過剰天引きされていれば還付になり、本業の税率が高い場合は追納となる |
【実態検証】掛け持ちバイト・副業で税務署から連絡が来るメカニズム
SNSや各種相談掲示板では「数年前の副業バイトについて税務署から手紙が届いた」「会社に副業が発覚してトラブルになった」という投稿が後を絶ちません。なぜ、何年も前の掛け持ち勤務が捕捉されるのでしょうか。その裏側には、地方自治体と国税庁が共有する精緻なデータ連携システムがあります。
雇用主である企業や店舗は、従業員に対して給料を支払った場合、支払金額の多寡にかかわらず翌年1月末までに各自治体へ「給与支払報告書」を提出する法定義務を負っています。この報告書には従業員の氏名、生年月日、住所、そして支払金額が詳細に記されています。自治体の税務課では、住民票のデータを名寄せキーとして個人ごとにすべての給与支払報告書を紐付けます。
この名寄せが行われた瞬間、本業の会社から提出された報告書と、副業先から提出された報告書が1人の納税者データとして統合されます。自治体はこの合算データを基に住民税を計算し、さらに税務署の国税総合管理(KSK)システムとも連動させます。結果として、「国税庁へ確定申告が出ていないにもかかわらず、自治体には2箇所以上から給与データが届いている」という不整合が機械的にリストアップされる仕組みです。
現場取材において、税理士関係者は次のように証言しています。「令和3年分のような過去の申告漏れは、税務署内の過年度データ突合ルーティンによって、申告期限から数年遅れて指摘されるのが通例です。とくに本業の年収が高く、副業で乙欄天引きされていた額が少ない納税者の場合、追加で納付すべき税額が累積するため、優先的に『お尋ね』や指導文書が発送されます」。知らなかったでは済まされない現実が、行政システム側で確実に構築されています。

一般に知られていない盲点とネットの誤解|「20万円以下なら放置」の危険性
給与を2箇所以上から得ている人々の間で、最も深刻な誤解を生んでいるのが「副業の所得が20万円以下であれば確定申告は不要」という言説です。インターネット上の簡易解説を鵜呑みにして申告を怠り、後から追徴課税や住民税の特別徴収を通じて職場に知られるケースが多発しています。
このルールの根拠は所得税法第121条ですが、給与所得者の掛け持ちに関する規定は非常に厳格です。「主たる給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得金額と、従たる給与の収入金額との合計額が20万円以下」である場合に限り、確定申告書を提出しないことができます。つまり、副業が「給与(アルバイトやパート)」である場合、利益(所得)ではなく「額面年収(収入金額)」そのものが20万円以下でなければ申告不要の対象にはなりません。
さらに見落としてはならないのが「住民税の申告義務」です。所得税法上の「20万円以下申告不要」はあくまで国の所得税に限られた特例であり、地方税法には一切存在しません。副業給与が年1万円であっても、所得税の確定申告を行わないのであれば、市区町村役場へ住民税申告書を個別に提出する法的義務が発生します。
住民税の申告を行わないと、自治体側で税額の辻褄が合わなくなり、結果的に本業の給与から副業分の住民税を一括天引きする「特別徴収税額決定通知書」が本業の会社へ送付されます。経理担当者が「給与に対して住民税額が不自然に高い」ことに気付き、副業が露呈する原因の9割以上がこのルートです。副業の存在を会社に知られたくない場合は、確定申告書の第二表最下部にある「住民税に関する事項」において、「自分で納付(普通徴収)」に必ずチェックを入れる必要があります。
【プロの結論】2026年の今こそ過年度申告を完了すべき理由と判断基準
なぜ今、令和3年分(2021年分)の給与合算申告に向き合う必要があるのでしょうか。その最大の理由は、税法が定める「還付請求権の消滅時効」にあります。所得税の還付申告を行える期間は、その年の翌年1月1日から5年間と定められています。令和3年分の還付申告のデッドラインは2026年12月31日であり、この期日を過ぎると、どれだけ過大に源泉徴収税額を引かれていたとしても国から1円も返金されなくなります。
一方で、合算計算の結果として「税金を納める必要があるケース(納付申告)」の場合、放置を続けるほどリスクは跳ね上がります。法定申告期限(令和4年3月15日)をすでに経過しているため、自主的に申告しない限り「無申告加算税(原則15%〜20%)」や日割りで加算される「延滞税」が雪だるま式に膨らみます。ただし、税務署からの事前通知を受ける前に完全自主申告を行えば、無申告加算税は5%に軽減され、条件次第では免除される救済措置もあります。
過年度申告における読者の行動判断基準
手元の源泉徴収票を確認し、自身がどちらのアクションを取るべきかを冷静に判定してください。
- 自力で即座に申告書を作成すべき人:
- 副業先の源泉徴収税額が高額(乙欄で数万円以上引かれている)で、合算しても還付になる可能性が高い人
- マイナンバーカードを保有し、国税庁の「確定申告書等作成コーナー(過去分作成機能)」を利用できる環境にある人
- 副業給与の年収が20万円を超えており、住民税を普通徴収にして早期にトラブルを防ぎたい人
- 税務署の窓口相談または税理士へ依頼すべき人:
- すでに税務署から「お尋ね」や「申告についてのお願い」といった公的文書が自宅に届いている人
- 掛け持ち先が3箇所以上あり、年末調整のやり直しや各種所得控除(生命保険料控除、医療費控除など)が複雑に絡み合っている人
- 源泉徴収票を紛失しており、当時の勤務先から再発行を受ける手続きから着手しなければならない人

【確定申告 給与 2箇所 書き方 令和3年】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:令和3年分の源泉徴収票を紛失してしまった場合、確定申告は諦めるしかありませんか?
A1:諦める必要はありません。給与を支払っていた当時の勤務先(アルバイト先や会社)には、源泉徴収票の再発行義務があります。経理担当部署や店舗責任者へ「過年度の確定申告で使用するため再発行してほしい」と依頼してください。もし当時の会社が倒産・廃業している場合は、管轄の税務署に相談し「源泉徴収票不交付の届出書」を提出することで、給与明細などを代替証拠として申告手続きを進められる救済措置が用意されています。
Q2:国税庁ホームページの作成コーナーで令和3年分の申告書を作ることはできますか?
A2:可能です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」には過去分の作成機能が備わっており、トップ画面から「過去の年分の申告書等の作成」を選択すれば、令和3年分の入力画面にアクセスできます。画面の案内に沿って2社分の源泉徴収票に書かれた数値をそれぞれ打ち込むだけで、給与所得控除や合算税額が自動計算されるため、紙の申告書を手計算で書くよりも計算ミスを防ぐことができます。
Q3:副業の給与収入が年間15万円でした。所得税の申告は不要と聞きましたが、何も手続きしなくて大丈夫ですか?
A3:所得税の確定申告は不要ですが、お住まいの市区町村役場への「住民税申告」は必須です。これを怠ると、後から本業の会社へ副業分の税額通知が届いて掛け持ちが発覚する主因となります。また、副業先で所得税が「乙欄」で天引きされていた場合、所得税申告を行えば過払い分の税金が手元に戻る(還付される)ケースが多いため、金額が小さくても確定申告を自ら行ったほうが経済的メリットを得られることが大半です。
まとめ:手元の源泉徴収票2枚を正しく整えて過年度申告を乗り切る
令和3年分における給与2箇所の確定申告は、第一表の「合算収入からの給与所得控除再計算」と、第二表への「2社それぞれの正確な明細転記」さえ押さえれば、決して恐れる手続きではありません。甲欄と乙欄の税率差を正しく突合し、住民税の徴収方法を適切に選択することが、自身の生活と資産を守る防壁となります。
とりわけ還付申告の対象となる納税者にとって、2026年は過大に納めた税金を取り戻すことができる最後の猶予期間です。手元に残された2枚の源泉徴収票を放置せず、国税庁作成コーナーや税務署の窓口を活用しながら、速やかに適正な申告手続きを完了させてください。 (出典: 確定申告 給与 2箇所 書き方 令和3年(Yahoo!ニュース))